インド占星術では太陽以上に重要視される星——それが月(チャンドラ)です。心、感情、お母さんとの縁を表し、かに座を担当します。おうし座にいるときが最も安定(高揚)し、さそり座では力が弱まります(減衰)。
月が重要視される最大の理由は、感情・直感・本能的な行動パターンを支配しているからです。意識的な目標(太陽)とは異なり、月は「心が自然に反応する方向」を示します。日々の気分の波、人間関係での感情の動き、無意識に繰り返す習慣——これらはすべて月の影響です。共感力・直感力・感情知性の高さも、月が強いチャートの特徴です。
月は約27〜28日で黄道を一周し、1つの星座に約2〜2.5日滞在します。動きの速い天体であるため、同じ誕生日でも数時間違うだけで月のいるナクシャトラが変わります。これが出生時刻の正確さがとりわけ重視される理由です。
ジョーティッシュで月が持つ最重要の役割が、ダシャー(人生の時期予測)との関係です。生まれたときに月がどのナクシャトラにいたかが、「ヴィムショッタリー・ダシャー」という120年周期の時期予測のスタート地点を決めます。これが「ジャンマ・ナクシャトラ(出生ナクシャトラ)」であり、あなたの人生の時計の針の起点です。
ラグナ(上昇星座)・太陽と並んで「ビッグスリー」と呼ばれる月は、チャートを読む際の3つの主要な視点のひとつです。ラグナが「外から見た自分・人生のテーマ」、太陽が「魂の方向性・エゴ」を示すのに対し、月は「内なる心の世界・感情の基盤」を示します。鑑定では3つを組み合わせることで、その人の多面的な姿が見えてきます。
月のダシャー期間は10年間。この時期は感情・家庭・母との関係・内面の成長が人生のテーマになりやすく、心の安定を取り戻す時期や、直感に従って動くことが運を開く時期とも言われます。月は「マナス」(心・マインド)の象徴であり、心の充実なくして人生の充実はないというジョーティッシュの思想を体現する星です。